ウクライナ東部最後の要衝巡り戦闘激化、陥落の可能性も

[キーウ/KONSTYANTYNIVKA(ウクライナ) 3日 ロイター] – ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は、東部ルガンスク州の最後の要衝リシチャンスクを巡る戦闘が週末に激化する中、同市が陥落する可能性を排除しなかった。

ロシア軍は先月、ドネツ川を挟んで対岸に位置する都市セベロドネツクを制圧した。

親ロシア派勢力「ルガンスク人民共和国」の関係者はロシアのテレビ局に対し「リシチャンスクを支配下に置いた」と語った。その上で「まだ解放はされていない」とも述べた。

ロシアのメディアは、リシチャンスクで親ロシア派兵士らが旗を振り歓声を上げている映像を流したが、ウクライナ国家親衛隊の報道官は、同市は依然としてウクライナ軍が支配していると言明。「現在、リシチャンスク市付近で激しい戦闘が行われているが、まだ包囲されていない」と語った。

アレストビッチ顧問は、ロシア軍がドネツ川を渡り北から同市に接近しているとし「これはまさに脅威だ。いかなる結果も排除しない。一両日中に事態はより明確になるだろう」と述べた。

2日にはウクライナ南部の黒海に面した港湾都市オデーサ(オデッサ)に隣接するミコライウ市でも大規模な爆発が起きたと市長が明らかにした。

爆発の原因は現時点では明らかになっていないが、ロシアは軍の司令部を攻撃したと発表している。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日のテレビ演説で、勝利への道は「非常に困難」だが、ウクライナの人々は「侵略者」に損害を与えるべく、決意を維持する必要があると呼びかけた。

北朝鮮、日米韓の安保協力強化を批判 「アジア版NATO構築」

[ソウル 3日 ロイター] – 北朝鮮外務省の報道官は、日米韓3カ国による安全保障協力強化に関する最近の合意はアジア地域で北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟を構築する米国の計画を具体化する手段だと批判した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が3日報じた。

同報道官はKCNAの質問に、「米国が『北朝鮮からの脅威』に関するうわさを広めている本当の目的は、明らかにアジア太平洋地域で軍事的優位性を得るための口実作りだ」と指摘。「安全保障環境の急速な悪化に積極的に対処するため、国家防衛力を強化する緊急性が増している」と述べた。

日米韓首脳は先週、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせて3者会談を開き、北朝鮮によるミサイル発射実験に対する深い懸念を表明。北朝鮮の脅威に対応するために日米韓による安全保障上の連携を強化する方針で一致した。

KDDI通信障害、3915万回線に影響 総務相「重大な事故に該当」

[東京 3日 ロイター] – 金子恭之総務相は3日、緊急会見を開き、携帯電話大手のKDDIと沖縄セルラー電話で全国的に音声通話やデータ通信が利用しにくい状況となったことについて「電気通信事業法上の重大な事故に該当する」との認識を示し、同社からの正式な報告を受けたうえで、必要な対応を取る考えを示した。

3日午前に会見したKDDIの高橋誠社長によると、最大3915万回線に影響が出た。個人の利用者のほか、同社回線を使った宅配の情報システムや気象データ、ATM(現金自動預払機)なども影響を受けた。高橋社長は「重要インフラを支える、また安定したサービスを提供する立場の通信事業者として深く反省している」と陳謝。「重大な事故と捉えている」と語った。

金子総務相は「国民生活や社会経済の重要インフラである携帯電話で極めて多くの人が長時間利用困難な状態になっていることは大変遺憾」と述べ、緊急通報などに支障をきたしている事態に、総務省としても「事態を深刻に受け止めている」とした。

2021年10月にNTTドコモが大規模な通信障害を起こしているが、今回の事案は、それよりも大規模で影響は大きいと指摘。今後、KDDIと沖縄セルラー電話から正式な報告を受けたうえで「総務省として関係法令に基づき、しかるべき必要な対応を行っていく」との考えを示した。

KDDIでは2日未明からauのほか、同じ回線を使うUQモバイルやpovo(ポヴォ)などの携帯電話サービスで大規模な通信障害が発生。2日は終日復旧せず、3日になって一部が回復した。KDDIは西日本で午前11時ごろ、東日本は夕方の復旧を見込んでいる。

KDDIによると、2日午前1時35分ごろ設備障害が発生。音声通話の交換機で、処理能力を超えるデータが集中する輻輳が起きた。

携帯電話の大規模障害は昨年10月にNTTドコモでも発生し、延べ1290万人に影響が出た。

*KDDI社長会見の内容を追加しました。

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに減少=ベーカー・ヒューズ

[1日 ロイター] – 米エネルギーサービス企業、ベーカー・ヒューズの週間データ(1日までの週)によると、米国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は5週間ぶりに減少した。

リグ稼働数は前週から3基減の750基。前年同期比では275基(58%)増加した。

石油リグの稼働数は1基増の595基で、2020年3月以来の高水準。天然ガスリグは4基減の153基で、21年8月以来の大幅減少だった。

月間ベースでは6月まで過去最長の23カ月連続増を記録したが、週ベースでの増加はほぼ1桁にとどまっている。企業は増産より投資家への還元や債務返済に資金を回している。

仮想通貨ヘッジファンドのスリーアローズ、米連邦破産法の適用申請

[1日 ロイター] – 暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドのスリーアローズ・キャピタルは1日、米連邦破産法15条の適用を申請した。

スリーアローズはここ数カ月の仮想通貨急落局面で厳しい状況に置かれていた。ロイターは先月29日、同社が清算手続きに入ったと報じていた。

裁判所文書によると、ニューヨークの南部地区にある破産裁判所に適用申請を行った。破産法15条の下では、外国企業は米国にある資産を債権者から守ることができる。

中国が米国人の入国規制緩和へ、第3国経由の入国も可能に

[1日 ロイター] – 中国は米市民の入国制限を緩和し、第3国を経由する入国を認める方針を明らかにした。在ワシントンの中国大使館が1日通達を出した。

米市民が中国への入国を希望する場合、新型コロナウイルス検査結果が陰性であれば、米国または第3国から入国するためのグリーン健康コードを申請し取得することができる。以前は、米国から直接入国する米国市民に対してのみこのコードが与えられていた。

米国から中国への直行便の数が限られていることもあり、航空券の価格が1万ドルにもなる状況となっていた。

中国は最近、他国の市民に対しても同様の制限を緩和している。

米、ウクライナに追加軍事支援 高性能地対空ミサイルなど

[ワシントン 1日 ロイター] – 米国防総省は1日、ウクライナに対する8億2000万ドルの追加軍事支援を発表した。バイデン大統領が30日に北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で明らかにしていた。

支援には高性能の地対空ミサイルシステム(NASAMS)2基、対砲兵レーダー4基、155ミリの砲弾最大15万発、高機動ロケット砲システム「ハイマース」の弾薬が含まれる。

これによりロシアによる侵略開始後の米国によるウクライナ軍事支援の総額は約69億ドルとなる。

アングル:石油増産の裏にサウジの外交力、米ロの間を綱渡り

[ロンドン/ドバイ 30日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国でつくる「OPECプラス」が6月2日の会合で追加増産を決めた裏には、サウジアラビアによる「陰の外交努力」があった。米国の要求を受けて増産の根回しを進めていたサウジが、ロシアの同意を確保するため積極的な働きかけをしていたのだ。協議の事情に詳しい2人の関係者がロイターに明らかにした。

こうしたサウジの動きは、同国が米国との関係改善を模索しつつ、長年にわたって築いてきた石油政策を巡るロシアとの協調も壊さない、という難しいかじ取りを迫られていることを物語っている。

関係者の1人はOPECプラスの増産について「米国が主張し、その後サウジがロシアの意向を確認する必要が生じて、結局問題なしとなったようだ」と説明。2人目の関係者もロイターに、サウジはウクライナ侵攻に伴って欧米から厳しい制裁を科されていたロシアに対して慎重に相談を持ちかけたと述べた。

7月13─16日にはバイデン米大統領が中東を外遊し、就任以降初めてサウジを訪れる予定だ。バイデン氏は与党・民主党内に背中をつつかれ、OPECプラスからロシアを排除するようサウジに求めろと迫られている。

だがそれはサウジにとって、ロシアを生産協定に仲間入りさせるために払ってきた多年の努力が水泡に帰すことになる。OPECプラスが発足したのは2016年だが、サウジはそのずっと前からロシアと協力体制を構築する取り組みを続けてきた。

あるOPECプラス代表はロイターに「ロシアをとどめることが非常に大事だ」と語る。複数の専門家も、サウジは何か政治的な理由があるわけでなく、純粋に石油市場における影響力を高めるという意味でロシアがOPECプラスに残るのを望んでいるとの見方を示した。

ロシアの考えに通じている関係者は、欧米がロシアの孤立を願っている時期にOPECプラスの一員であることはロシアにとってプラスに働いていると指摘。「現在の環境においてサウジは原油高を享受し、ロシアはOPECプラスからの確実な支援が必要だ。市場崩壊は誰の利益にもならない」と付け加えた。

<大事なロシア取り込み>

バイデン氏はサウジ訪問に際して、事実上の政治指導者であるムハンマド皇太子と会談する見通し。バイデン氏とムハンマド皇太子の間には、イエメン内戦やサウジの反体制記者殺害事件などを巡ってあつれきが生まれていた。

一方、先のロシア側関係者によると、ムハンマド皇太子とプーチン大統領は「より緊密」な間柄だ。

またサウジのアブドルアジズ・エネルギー相は6月にロシアで開催された国際経済フォーラムで、ロシアとサウジの関係は「リヤドの天気のように良好だ」と発言。ロシアのノバク・エネルギー相も、ロシアは2022年より先までOPECプラスと協力できると強調した。

サウジとロシアが正式に生産協定で連携したのは2016年のOPECプラス発足以降だが、ロシアをOPEC側に取り込もうとする動きは2001年から始まっている。

そのOPECプラスは2020年に合意した減産分を今年8月までに完全に巻き戻す計画だ。ただしロシアは欧米の制裁によって生産量が減り続けており、今後のOPECプラスとしての協力体制がどうなるか疑問も浮上してきた。

別のロシア関係者は、11月の米議会中間選挙前にOPECプラス内部の「力学」が変化する公算は小さいとみている。

古くからのOPEC専門家であるゲーリー・ロス氏は「20年余りも石油市場の管理運営にロシアを引き入れる取り組みを続けてきたサウジが、この重要な関係を解消しようとはしていない」と断言した。

(Alex Lawler記者、Maha El Dahan記者)

アングル:インドでコメ油の需要急増、食用油不足で乗り換えも

Rajendra Jadhav

[ムンバイ 24日 ロイター] – 世界最大の植物油輸入国であるインドでは、世界的な供給網の混乱により生じた食用油不足を乗り切るため、原材料の「米ぬか」に注目が集まっている。

精米過程の副産物として生じる米ぬかは、これまで畜産や養鶏用の飼料として使われてきた。近年では製油工場でも、健康志向の強い消費者が支持するコメ油の抽出が行われるようになったが、従来は競合する食用油に比べて割高だった。

現在でも、インドにおける植物油消費全体に占めるコメ油の比率は小さい。だが、業界関係者によれば食用油の間で最も急速に伸びており、需要に応じるために生産・輸入の拡大が始まっているという。

インドネシアによるパーム油輸出の規制とウクライナからのひまわり油出荷が途絶したことで、このところ世界的に食用油価格が高騰しており、競合製品に対するコメ油の割高感はすっかり消えてしまった。これを機に、風味の特徴がひまわり油に似ているコメ油への需要は急増している。

国際米油協会(IARBO)のB・V・メータ事務総長は、ウクライナ産ひまわり油の輸入が急減する中で、消費者の間でコメ油への乗り換えが始まっている、と話す。インドは通常、国内のひまわり油需要の3分の2以上をウクライナからの輸入に頼っている。

ムンバイで暮らす主婦のアディティ・シャルマさんは、「コロナ禍を機に、健康的な食材を求めるようになった。身体に良いというコメ油を初めて使ったのは6カ月前で、それ以来、ずっと使っている」と話す。

シャルマさんは、コメ油にはコレステロール値を下げ、抗酸化作用もあるとして、「風味も良いし、健康にも良い」と話す。

現在、インドでのコメ油の価格は1トン当たり14万7000ルピー(約25万円)。これに対し、ひまわり油は17万ルピーだ。

インド溶剤抽出事業者協会(SEA)がまとめたデータによれば、コメ油は通常、他の油種に比べて25%ほど割高だが、ここ数カ月は輸入植物油よりも安くなっており、一般市民にとっても買いやすくなっている。

価格競争力を得たことで、コメ油の消費量は3月以降増大しており、事業者はコメ油生産に動きつつある。

4人家族のシャルマさんは、以前のように割高になったとしてもコメ油を買い続けるだろう、と話す。

<副産物から主役へ>

コメ油への需要は非常に旺盛で、精米事業者の収益構造まで変わってしまった。今や彼らは、コメ油の生産を優先している。

「精米事業者にとっては、これまで副産物にすぎなかった米ぬかが、今や主力製品になってしまった」と語るのは、国内最大のコメ油メーカーであるリセラ・グループのプニート・ゴヤル最高経営責任者(CEO)。

ゴヤルCEOは、需要増大に対応するため、現在1日600トンの精製能力を今後2カ月で1日750トンまで拡大する予定だと話している。

インド米輸出事業者協会のB・V・クリシュナラオ会長によれば、植物油不足を受けて、製油事業者は米ぬかに対し過去最高の買い取り価格を提示しているという。

米ぬか価格は1トン当たり3万ルピーから3万6000ルピーまで跳ね上がった。精米工程に送られる玄米の価格は1トン当たり約1万9000ルピーである。

だが、依然としてコメ油の供給を大きく制約しているのは、精米が行われているすべての地域で製油設備が不足しているという問題だ。人間が消費する食用油に加工する場合、米ぬかを籾殻から分離して48時間以内に処理する必要があるからだ。

米ぬかのうち食用油に加工されるのは今のところ55%に留まり、残りは低価格の飼料市場に回ってしまう。

それでも、複数の製油事業者が生産量の最大化に努めており、インドにおけるコメ油生産量は、2021年の約95万トンに対し、今年は過去最高の105万トンに達する見込みである。インドが競合製品の輸入を減らす一助になるはずだ。

<需要の増大>

インドにおける食用油の消費量は過去20年間で3倍に膨れあがった。背景には、人口増加と所得の上昇、国民の外食傾向の高まりがある。

インドの植物油消費量は年間約2300万トン、そのうち1300万トン近くを輸入している。国内生産のコメ油で、植物油消費全体の約5%を賄うことができる。

インドの食用油メーカー、アダニ・ウィルマー や日用品大手エマミ 、そして穀物商社カーギルのインド事業部などの企業は、都市部での需要増大に対応するため、独自のコメ油ブランドを立ち上げた。

インド最大の米輸出企業であるサトヤム・バラジーでエグゼクティブ・ディレクターを務めるヒマンシュ・アガルワル氏は、コメ油ブランドの人気は上昇しており、消費者の支持も高まっていると話す。

「この新しいセグメントは成長の一途にある」とアガルワル氏。従来はもっぱらパーム油、大豆油、ひまわり油、なたね油を提供していた企業も、コメ油製品を発売しているという。

リセラのゴヤルCEOは、食品大手ペプシコ や食品メーカーのハルディラムなどの法人顧客でも、揚げ物加工にコメ油の利用が増えていると語る。

とはいえ、国内生産だけでは増大する需要に応えきれない。

「バングラデシュからコメ油を輸入している企業が2-3社あるが、バングラデシュでも輸出に回せる余裕は限られている」とIARBOのメータ氏は話した。

(翻訳:エァクレーレン)

焦点:アフリカ産農産物、中国輸出に「事後の要求」の壁

[ティーカ(ケニア) 28日 ロイター] – ケニアの農業法人カクジが保有する果樹園で、労働者たちが木に実ったアボカドを揺さぶり落としている。クリス・フラワーズ最高経営責任者は、その光景を眺めながら、収穫物の一部が最も魅力的な新興の消費市場、中国に出荷される可能性に胸を躍らせている。

中国政府がアフリカ諸国との貿易に力を入れつつあるのに乗じて、ケニアは大幅な貿易赤字を少しでも削減しようと、数年にわたり市場開放への働きかけを続けた末に、この1月に生のアボカドを中国に輸出する協定を締結した。

だが、ロイターの取材に応じたケニアのアボカド生産者協会と植物衛生検査当局、そしてカクジ によれば、締結から6カ月経った今でも、まだ1度も出荷は行われていないという。

ケニア国内の検査に合格したアボカド輸出業者は10社。ところが現在、中国側は独自の検査をやりたいと主張している。他のアフリカ諸国の果物生産者のこれまでの経験によれば、ゴーサインが出るまでに10年かかっても不思議はない。

国際連合アフリカ経済委員会で貿易担当部門を率いるスティーブン・カリンギ氏は、「現に市場があっても、基準に適合できなければ何の恩恵も得られない」と語る。

ロイターはアフリカ諸国の当局者や事業者約10人に取材をした。彼らは、中国側の煩雑な官僚主義と、包括的な貿易協定の締結に消極的な姿勢が、アフリカからの輸入促進という中国政府の計画の足を引っ張っていると語る。

とはいえ、農産物輸出の拡大は、アフリカ諸国が中国との貿易収支を改善し、膨大な債務の返済に必要な外貨を得るうえで、数少ない選択肢の1つとなっている。債務のかなりの部分は中国政府に対するものだ。

ケニアの場合、中国との貿易収支は年間約65億ドルの赤字で、対中債務はおよそ80億ドルだ。今年は債務の利払いだけでも6億3100万ドル近くが必要だが、この金額は2021年の対中輸出額のほぼ3倍に相当する。

アフリカ諸国の多くは、中国からの借入をこれ以上増やすのは論外であり、対中輸出を増やさなければならないと話している。中国側も貿易不均衡に対応する、少なくともさらに悪化させることを防ぐ必要を認識しており、昨年11月に戦略転換を発表した。

これまで中国とアフリカ諸国との首脳会議は、驚くほど巨額の借款を中国が発表する場として利用されてきたが、習近平主席は11月の会議で、今後3年間のアフリカ諸国からの輸入を計3000億ドルに拡大し、さらに2035年までに年3000億ドルとするためのさまざまな方針を発表した。

複数の専門家は、理屈の上では最も有望な手段の1つが農業であると語る。中国が世界最大の食糧輸入国である一方、アフリカ諸国において農業部門は就労者数でもGDPへの貢献度でも首位だからだ。

さらに、世界全体では未開発の耕作適地の60%がアフリカに存在し、非常に大きな成長可能性を秘めていることになる。

中国商務省系のシンクタンクである中国国際貿易経済協力研究院の梅新育氏は、「中国、アフリカ双方にとって、ウィン・ウィンの選択だ」と語る。

<貿易不均衡という課題>

ここ数十年、中国はアフリカ諸国との関係を深め、鉱産資源・石油の採掘を進めつつ、鉄道、発電所、高速道路の建設費用として多額の借款を提供してきた。

これによって中国とアフリカ諸国の貿易規模は過去20年間で24倍に膨れ上がり、昨年はコロナ禍による世界的な混乱にもかかわらず、中国・アフリカ諸国間の貿易額は過去最高の2540億ドルに達した。

だが、2021年には1480億ドル相当の中国製品がアフリカ諸国に輸出されたのに対し、中国がアフリカ諸国から輸入したのは1060億ドルにとどまった。そのうち750億ドルは、5つの資源大国(アンゴラ、コンゴ共和国、コンゴ(旧ザイール)、南アフリカ、ザンビア)で占められている。

ナイジェリアの人口はアフリカ最大で、中国製品の輸入額もトップだ。2021年には230億ドル相当を輸入しており、ナイジェリアからの対中輸出額の8倍にも達した。

不均衡がさらに顕著なのがウガンダだ。輸出品の約80%はコーヒー、茶、綿花といった農産物で、昨年の対中輸出額は4400万ドルだが、逆に輸入額は10億ドルを超えた。

中国税関当局のデータによれば、アフリカ諸国のうち4分の3以上では中国との貿易収支が赤字となっている。

中国外務省アフリカ局の呉鵬総局長は、こうした不均衡は意図した結果ではないと話している。

呉鵬総局長はロイターに対し、「中国は常に、中国・アフリカ諸国間の貿易をバランス良く発展させることに注力している」と語った。

北京に本社を置くアフリカ系の開発コンサルタント企業ディベロップメント・リイマジンドの創業者ハンナ・ライダー氏は、アフリカ諸国首脳は多年にわたり、貿易分野での行動を求めてきたと言う。

一方で、コロナ禍を機に債務問題への関心が高まった。アフリカを中心とする低所得国の約60%では、債務返済負担が過去20年間で最も重くなっており、債務超過またはそのリスクが高い状態にある。

ライダー氏は、「アフリカ諸国には、これ以上の借入ができないという重圧がかかっている」と話す。「(中国は)貿易分野で何かできないかと考えている」

<グリーン・レーン>

食品・農産物分野における中国の輸入額は、20年前は130億ドル相当だった。2020年には1610億ドルまで飛躍したが、そのうちアフリカ諸国からの輸入は2.6%を占めるに過ぎなかった。

中国外務省でアフリカを担当する呉氏は、成長をコントロールすることで均衡のとれた貿易が確保され、アフリカでの雇用機会を増やし、アフリカ大陸の工業化を支援することにつながると話す。

「中国・アフリカ間の貿易協力についてアフリカ諸国が感じる重要な懸念に、(中国は)積極的に対応してきた」と同氏は語る。

習近平主席の計画では、アフリカ産農産物の検査を迅速化するため、「グリーン・レーン」と呼ばれる集約的な通関区域の設置や無関税市場アクセスの拡大、アフリカからの輸入を担う中国企業への100億ドルの貿易融資を提唱している。

アデレード大学国際貿易研究所のローレン・ジョンストン客員上席講師は、理屈の上では、中国における食糧需要の増大はアフリカにとって、農産物輸出を活用して外貨を獲得する大きな機会になっていると指摘する。

「債務問題を背景に、農産物輸出が注目を浴びるようになった」とジョンストン氏は言う。「そもそも、非常に理に叶った投資だ」

とはいえ、ケニアも含め、一部の諸国はこの機会をなかなか活用できていない。ケニアはアボカドの生産量でアフリカ首位で、昨年は欧州向けを中心に1億5400万ドル相当を輸出した。

ケニア植物衛生検査局(ケフィス)のエリック・ウェーレ氏は、今年は10社のアボカド生産者が複雑な手続きを経て対中輸出に向けた検査に合格したと語る。

「中国向けには、果樹園の検査、梱包作業所の検査、さらに燻蒸消毒施設の検査が必要になる」と同氏は言う。

ウェーレ氏によれば、ケニア最大のアボカド生産者であるカクジの場合、種子から果樹の管理、アボカドの収穫、加工、梱包まで生産過程の追跡可能性を示すのに1カ月を要したという。対照的に、欧州連合は出荷の際の検査しか要求しないと同氏は語る。

ところが先月、ケフィスは中国当局が独自の検査を行うことを決定したと発表した。隣国ウガンダの経験を見ると、これは必ずしも良い話ではない。

「中国側の検査では、こちらの行き届かぬ点を指摘されることが非常に多い」と、ウガンダのエマニュエル・ムタフンガ対外貿易委員長はロイターに語った。

<越えがたい障害>

タンザニアのコーヒー農家もなかなか対中輸出で頭角を現せなかった。ナミビアでは、牛肉輸出協定に調印してから中国側規制当局を満足させるまでに9年かかり、ようやく2019年に初出荷にこぎつけた。

呉氏は、中国の計画的な取り組みは、アフリカ諸国の農家が自身の検疫と食料安全性確保能力を改善するのに寄与するはずだと言うが、梅氏とジョンストン氏は、アフリカからの輸入品に対する植物検疫が緩和される可能性は低いと語った。

「中国と食品安全性以上に乗り越えにくい障害は存在しない」とジョンストン氏は語る。

専門家の中には、中国が輸入促進に向けた他の方法を見逃している面もあるという声もある。南アフリカ農業ビジネス協議会の主任エコノミスト、ワンディーレ・シフロボ氏もその1人だ。

シフロボ氏によれば、中国政府はEUのように、アフリカ諸国や地域経済ブロックとの包括的な貿易協定に向けた交渉を進めることもできるはずだという。

だが中国は、あいかわらず2国間取引、それも個別の農産物の貿易にこだわっている。

「一番言いたいのは、中国がアフリカからの食料輸出に対してもう少しオープンであってほしいという点だ」とシフロボ氏。「より有利な協定に向けて交渉している個々の国々に、多くの負担がかかっている 」

アフリカ諸国の中で、中国市場における先駆者の1つが南アフリカの柑橘類産業で、2004年には中国政府との間で最初の協定を締結している。2021年には16万2000パレットの果実を輸出した。だが、成功に至る道は容易ではなかった。

南アフリカ柑橘類生産者協会のジャスティン・チャドウィックCEOは、「南アフリカの柑橘類にとって、中国は夢のような市場だった」と語る。

とはいえ、いまだに南ア産柑橘類にとって圧倒的に大きな輸出先は、食品安全性基準が厳しいはずの英国と欧州連合であり、昨年の輸出額の44%を占めている。

「中国市場に進出したければ、それぞれの農産物ごとに個別の協定を結ばなければならない。それぞれについて平均して約10年かかる」とチャドウィック氏は語る。

「あいにく、中国は1度に1種類ずつしか交渉しない」

(Duncan Miriri記者、Joe Bavier記者、翻訳:エァクレーレン)