情報BOX:北朝鮮が1月に相次ぎ発射実験したミサイルの詳細

情報BOX:北朝鮮が1月に相次ぎ発射実験したミサイルの詳細

[ソウル 31日 ロイター] – 北朝鮮は今年1月に相次いで行ったミサイル発射実験を締めくくる形で、30日に中距離弾道ミサイル「火星12」を発射し、核弾頭運搬システムの信頼性確保に取り組む様子が浮き彫りになっている。

1月初めに北朝鮮はまず、新たな「極超音速ミサイル」の実験を行実施。その後、長距離巡航ミサイル、鉄道車両と空港からの短距離弾道ミサイルの発射実験を続け、朝鮮半島の非核化協議が停滞する中でミサイル戦力の技術改良と拡充が進んだことを見せつけた形だ。

北朝鮮は2017年以降、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や各種核兵器の実験は実施していない。しかし、韓国や米国の当局者は、火星12の発射からは、そうした実験が近く再開される可能性がうかがえるとの見方を示した。

1月に発射されたさまざまなミサイルの詳細は、以下の通り。

◎極超音速ミサイル

北朝鮮は1月5日と11日に、新型の極超音速ミサイルの発射実験を遂行したと発表。金正恩朝鮮労働党総書記が2回目の実験に立ち会ったと伝えられている。

極超音速ミサイルは通常、弾道ミサイルよりも低軌道で飛行し、速度は時速約6200キロと音速の5倍以上に達することができる。もっとも専門家の解説に基づくと、こうした名前がついているにもかかわらず、その一番の特徴はスピードではなく、上下左右に軌道を変えてミサイル防衛システムを突破できる点にある。

韓国政府の複数の当局者は、1回目の実験後にはミサイルの能力に疑問を呈したが、2回目の実験で性能の向上が示されたようだと語った。

専門家の話では、北朝鮮が極超音速ミサイルの技術を完成させた場合、周辺国に対する攻撃能力が大幅に高まる可能性があるという。

◎短距離弾道ミサイルKN-23

北朝鮮は1月14日、中国との国境付近で鉄道車両から2発の短距離弾道ミサイルを発射した。国営メディアは、ミサイル運用部隊の練度を高める演習だと伝えた。

同国の鉄道網は限定的で、運行面の信頼性に欠けるケースもあるが、鉄道運搬型のミサイルは相対的に費用が安く、核戦力の生存能力を高める上で有効な選択肢になる。発射前に敵側が探知して破壊するのが難しいからだ、と専門家は説明している。

2発のミサイルは、米軍コード名で「KN-23」と呼ばれている短距離弾道ミサイルだったとみられる。最初の発射実験は2019年5月に行われ、より低い軌道でミサイル防衛システムをすり抜ける目的で設計されたという。

北朝鮮はその後、移動発射車両からも2発のKN-23を発射。国営メディアによると、この実験で搭載した通常弾頭の「爆発力」が確認された。一方、専門家の分析では、飛行高度がこれまでで最も低くなった。

◎短距離弾道ミサイルKN-24

さらに北朝鮮は1月17日、首都平壌の空港から2発の短距離弾道ミサイルを発射した。この種の実験は極めて異例だ。国営メディアは、ミサイルが東部沿岸沖の標的とされた島に正確に命中したと伝えた。

専門家は、このミサイルが米軍コード名「KN-24」のようだと述べた。KN-24の直近の発射実験は2020年3月。既に量産化と実戦配備が行われたと見受けられる。

KN-24は米陸軍戦術ミサイル「ATACMS」と似た特性を持ち、KN-23と同じく従来の弾道ミサイルよりも低い軌道を飛行してミサイル防衛システムを突破する目的で設計された。

◎長距離巡航ミサイル

北朝鮮の国営メディアは、1月25日に2発の長距離巡航ミサイルが発射され、1800キロ飛行した後で東部沿岸沖の標的となった島に命中したと伝えた。朝鮮中央通信(KCNA)によると、このミサイルは「わが国の戦争抑止力向上」において一定の役割を果たしてくれるという。

昨年9月、北朝鮮は新たな「戦略的」巡航ミサイルの最初の実験を行っており、核弾頭を搭載する初めての巡航ミサイルになり得るとみなされている。専門家の話では、今回の長距離巡航ミサイルもこれと類似しており、当初の改良版の可能性も示唆されている。

北朝鮮の巡航ミサイルは、国連安保理決議で明確に禁止されていないため、通常は弾道ミサイルほど関心が集まらない。ただ、専門家は対地攻撃型巡航ミサイルが、少なくとも弾道ミサイルと同程度の脅威になり得ると警告する。

◎火星12

北朝鮮が中距離弾道ミサイル「火星12」の最初の発射実験を行ったのは2017年4月。これは制御不能に陥り、米国や韓国の当局者が実験失敗と認定した。同じ月にさらに2発が発射され、やはり直後の爆発と空中分解という形でいずれも失敗に終わったもようだ。

ただ、17年5月に実験が初めて成功。北朝鮮はこの年、もう2発を発射して北海道上空を飛行させた。

今年1月30日の実験において、北朝鮮は「周辺国の安全を考慮」して飛行軌道を引き上げる形で発射。KCNAは、同実験で「火星12型兵器システムの精密さと安全性、作戦効果が確かめられた」と伝えた。韓国の報道では、ミサイルは高度約2000キロに達し、800キロを飛行した。

火星12の推定射程距離は4500キロで、米シンクタンクの戦略問題国際研究所(CSIS)によると、米領グアムやアラスカ州のアリューシャン諸島西縁部が含まれる。北朝鮮の国営メディアが伝えたところでは、火星12は「大型核弾頭」搭載が可能。17年には北朝鮮が火星12をグアムに打ち込んで「火の海にする」と米国を威嚇した。