仏サノフィ、mRNA型の新型コロナワクチン開発中止

サノフィは、米バイオテクノロジー企業トランスレート・バイオを買収して新型コロナのmRNA型ワクチンの開発を進め、第一相/第二相治験で良好な結果を得ていた。しかしこの部門ではファイザー/ビオンテックとモデルナの2大勢力の存在があまりにも大きいため参入しない選択をした。

サノフィは、季節性インフルエンザなどの疾病向けにmRNA型ワクチンの開発を行う。季節性インフルエンザ向けmRNA型ワクチン候補は6月にヒトを対象とした臨床試験を開始、来年には追加の治験を実施する予定という。

 

仏サノフィ、米トランスレート・バイオに買収提案=関係筋

[パリ 2日 ロイター] – 仏製薬大手・サノフィは、 遺伝情報物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を手掛ける米トランスレート・バイオに買収提案を行った。事情に詳しい関係者2人が2日、ロイターに明らかにした。新型コロナウイルスのワクチン開発で出遅れる中、次世代技術とされるmRNAに期待を寄せる。

トランスレート・バイオの株価は時間外取引で70%超上昇し、50ドルを突破した。

関係者の1人によると、サノフィの取締役会は1日にこの買収案について協議した。別の関係者によると、トランスレート・バイオの取締役会は2日にサノフィの提案を協議する予定という。

サノフィの広報担当者は、コメントを差し控えている。トランスレート・バイオは、電話やメールでのロイターのコメントの要請に応じていない。

買収額などの条件は明らかになっていない。トランスレート・バイオの時価総額は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まってから5倍に増加し、2日の終値時点では約22億ドルに達した。7月29日には場中の過去最高値となる36.98ドルを付けた。

ファイザーと独ビオンテックモデルナは、mRNA技術を活用したコロナワクチンを既に実用化しており、サノフィは新型コロナのワクチン開発競争で出遅れている。

トランスレート・バイオが専門とするmRNAアプローチは、人の細胞に特定の疾患に対する免疫反応を引き起こすたんぱく質を造るよう指示するもの。

サノフィとトランスレート・バイオは、2018年から共同研究を行っており、昨年、mRNAベースのコロナワクチンの開発に向けて協力を開始。第3・四半期に第1/2相の治験の中間結果が出る見通し。

仏サノフィ、mRNAワクチン施設に4億ユーロ投資へ

mRNA技術は、米国のファイザーやモデルナが開発した新型コロナウイルスワクチンで効果が実証されたが、サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)は昨年終盤、共同開発中の従来型のコロナワクチンの投入が1年遅れると発表し、関係者を驚かせた。

サノフィはその後、ファイザーとモデルナのコロナワクチン生産を支援する方針を示した。

サノフィは29日、同社の「mRNA研究拠点」に約400人のスタッフを集結させ、2025年までに最低でも6種類の臨床候補を開発すると発表した。

サノフィパスツールのグローバル研究開発部門ヘッドであるジャン・フランソワ​・トゥーサン氏は「新型コロナの流行では、mRNA技術で、かつてないほど迅速に新たなワクチンを開発できる可能性が示された」と指摘。

「ただ、さまざまな感染症、全ての年齢層への定期ワクチン接種にmRNAを応用するには、耐熱性や忍容性の改善といった主要なイノベーション分野が極めて重要になる」と述べた。